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私のフリーノート

本のレビューや気になることを自由に書き綴っているブログです。

2016年本屋大賞「羊と鋼の森」のあらすじと読んだ感想

小説

2016年本屋大賞の「羊と鋼の森(読み方:ひつじとはがねのもり)」を読みました。

羊と鋼の森

羊と鋼の森
宮下奈都

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「羊と鋼の森」あらすじ

ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

出典:羊と鋼の森 | 宮下 奈都 | 本 | Amazon.co.jp

人生の目的や、特にやりたいこともなかった高校生の男の子が、学校にやってきた調律師の男性に出会い調律に魅せられて調律師として生きていくことになります。

「羊と鋼の森(読み方:ひつじとはがねのもり)」ピアノの中にはフェルトでできたハンマーがあり、ハンマーが鋼の弦を叩くことで音が出ます。

ピアノの調律に立ち会った男の子が、まるで森に吸い込まれるようにピアノの調律の世界に入り込んでいく様子の描写が印象的でした。この物語はこんな書き出しから始まります。

森の匂いがした。秋の、夜に近い時間の森。風が木々を揺らし、ざわざわと葉の鳴る音がする。夜になりかける時間の、森の匂い。

問題は、近くに森などないことだ。乾いた秋の匂いをかいだのに、薄闇が下りてくる気配まで感じたのに、僕は高校の体育館の隅に立っていた。放課後の、ひとけのない体育館に、ただの案内役の一生徒としてぽつんと立っていた。

目の前に大きな黒いピアノがあった。大きな、黒い、ピアノ、のはずだ。ピアノの蓋が開いていて、そばに男の人が立っていた。何も言えずにいる僕を、その人はちらりと見た。その人が鍵盤をいくつか叩くと、蓋の開いた森から、また木々の揺れる匂いがした。夜が少し進んだ。僕は十七歳だった。

 出典:「羊と鋼の森」の本文より抜粋

「羊と鋼の森」の感想

全体的に淡々と静かな印象の物語ですが、読んでいると情景が目に浮かんできて世界観に引き込まれました。調律師が何人か出てくるのですが、それぞれ調律の方法やこだわりが異なり、調律の知識が全くない私でも興味深かったです。

調律は音を合わせるだけと思っていたのですが、調律によって、明るい音、くっきりした音、鈍い音、などピアノの音色が変わるんですね。そして演奏する人によっても、求める音は様々で非常に奥が深い世界だと思いました。

調律師になった主人公が、調律師の仕事に悩み戸惑いながらも、コツコツ取り組み成長していく姿に胸を打たれました。「好きこそものの上手なれ」とはよく言いますが、この青年は本当に調律を愛しているんだなぁと思いました。だからこそ自分の調律の技術の未熟さに苦しむことも多いですが、決して諦めずコツコツと技術を磨き続けます。

主人公の他にも同じ職場の調律師の方々も調律に対して非常に熱い気持ちを持っており、お客さんもピアノに特別な思い入れのある方ばかりです。大きな盛り上がりがあるような作品ではないのですが、静かで熱い物語だと思います。

myfreenote.com

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